PROJECT

2023.05.02

月夜の晩だぜ、ポンポコポン Vol.1 「ああ、花の応援団」

ここ何年か、出身高校のクラブの指導に行っている。応援団リーダー部である。

新入生が仮入部してくる春からゴールデンウィーク明けまでと、夏の高校野球予選応援に備えての新リーダー部員への技の伝授のためのわずかな期間だ。

僕が在籍していた頃は、(もう45年も前のことだ)年がら年中練習に明け暮れ、上下関係は非常に厳しく、パワハラは当たり前、時には鉄拳が飛んできた。

だが今は違う。上下関係は非常にゆるく、パワハラ厳禁、生徒の自主性を重じた和気藹々の雰囲気で練習している。

それでも男の子はなぜか続かない。ここ数年は部員全員女の子というタカラヅカ状態である。

女の子が、ハイカラーで少しばかり丈の長い学ランを身にまとって、技を繰り出す姿は本当に格好が良いし、さわやかだ。

女性がたくましく強くなったのか、男性に覇気がないのか。

いやいやジェンダーの問題をうんぬんするのではなく、性差を超えてやりたい人が楽しく続けてくれたらそれでいいのだ。

技のパフォーマンスの向上に取り組んでいるうちに、自然と内発的に応援団スピリッツが身についてくる。

クラスメイトへの思いやり、学校に対する愛着、そして何よりも学校元気の中心に自分たちがいるという自覚のめばえ。

1年もすると、非常にりりしく美しく、優しくなった彼女たちがそこにいるのである。

3年生部員は、この3年間、新型コロナ禍で何も活動できなかった。

「大声を出すな」という一言は応援団の存在を根底から否定する一言だった。どこにも磨いた技を発表する場がなかった。

思い出は作れなかったけれども、しかしきちんとバトンをつないでくれた。

この春、2名の女の子が「応援団、やりたいです」と正式入部に手をあげてくれたのである。

コロナは完全に収束していないが、やっとだ、やっと日常に戻る。彼女たちが夏の野球場で

クラスメイトに向かって「かっとばせ」と叫ぶ姿をやっと目にすることができる。青春を燃やせ。たぎらせろ。フレー、フレー。